るごろの営業日誌

田植え

01

梅を収穫した次の日、祖母の家に行くと
雨の中、叔父が納屋で耕耘機の手入れをしていた。
田植えの手伝いに来たと伝えると
今日は出来ない、おまえの思い通りになるかと叱られた。
相変わらず理不尽なおっさんだな。

「あらっ、今日手伝いに来るようにって叔父さまがおっしゃったのよ、オホホホホ〜」
と言うと、
「そうやったかね?いつ?」
とばつが悪そうに、ちょっと待てと家の中に入って行った。
戻って来るとなにやら沢山入っているビニール袋を持っている。
片手にはコーヒーゼリー。

ビニール袋を私の鼻先に差し出して、
「これね杏、やる。」
いやいやスモモでしょうが、と思いつつ
「ありがとう」と一応。
近所の川縁にわんさかなっているらしい。

03

雨けっこう降っているし田植えは無理だったかな?と言うと
アホ言え、田植えは雨の中するものだと叔父が言う。
それから農業の話になり、近所の話になり、昔話になり・・・
コーヒーゼリーをおさじでグルグルしながら
1時間ほど叔父と話して腰を上げる。
田植えは翌週、必ず手伝いに来いと言う。
納屋のカレンダーにその日を赤い丸で囲まれた。
おっさん・・・交通費・・・出せ・・・

さっきからずっと側にいるでっかい雄猫。
去年生まれた叔父の何匹もいる猫の一匹。
名前を聞くと、ものすごく恥ずかしがって、
タバコのヤニで黄色くなった歯をチラリと見せて
はにかみながら『チビ』と言う68歳。
この図体でチビですか、ほぉ。

02

帰りにあぜ道歩きながら一面の田圃を眺めると、まだどこも田植えはしてない。
その中に土かきしていない耕作放棄地があちこちにあることにはたと気づいた。
高齢化がとうにこの村にも訪れている事を今さらながら実感したアホな姪。
叔父が元気なうちに色々教えてもらわなくては。
本当は可愛い人なんだよ、叔父さんは。

2015-06-23 | Posted in るごろの営業日誌No Comments »